BBCのニュースは格好のリスニング教材!

 さて、前回はイギリスの公共放送BBCのラジオアプリBBC Soudnsを使って、何を聞きどうやってイギリス英語を聞き取る練習をしたかについて綴りました。
 13時(イギリス夏時間)から始まるWorld Newsチャンネルの「Newsday」を毎日、最初から最後まで丸々3時間聞いていました。前回も述べましたが、放送を聞く前に午前中にBBC Newsアプリで1つか2つの記事をしっかり読み込んで背景知識を頭に叩き込んで聞いてました。
 昨年は新型コロナウィルス(COVID19=コビッドゥ・ナインティーンと発音します)が年初から世界的大流行(pandemic)となったものですから、放送ではこの話題が中心になりました。そのため、例えば、infection(感染)という単語やquarantine(隔離)、ventilator(人工呼吸器)、PPE(personal protecitve equipment=個人用防護具。医療従事者が感染予防のために身につけるもの。マスク、ゴーグル、ガウンなど)、invisible adversary(目に見えない敵)といった単語が番組の中で飛び交い、とても勉強になりました。
 プレゼンターのクレア・マクドナルさんとローレンス・ポラーさん、またはアラン・カスージャ(Alan Kasujja)さんなどが日々、オックスフォード大学やケンブリッジ大学等の感染症の専門家に質問を投げ、専門的な解説・解答を引き出していました。さすがに、医学用語の知識がない私にとって、これは大変厳しいリスニングとなりました。
 前回も書きましたが、人間の集中力はそう長くは続きません。そこで、最初の1ヶ月ぐらいは3時間の放送を全部聞いていましたが、途中からだらけてしまう。なので、最初の1時間だけ聞こうと決め、その1時間だけはイギリス英語とバトルする覚悟で聞き取りに集中しました。
 午前中に読んでおいた記事のおかげもあって、最初の30分前後はBBC News アプリのトップニュースが扱われ、聞き取りは比較的楽でした。その際、プレゼンターの方々が話す英語を、影のようについて発音する「シャドウイング」に努めました。そうすることで、イギリス英語のアクセント並びにイントネーション(抑揚=よくよう。音の上がり下がり)の特徴を体で覚えるようにしたのです。
 前にも書きましたが、アメリカ英語は大波小波が押し寄せるような話し方をするのに、イギリス英語はタッタかタッタかと真っ直ぐな横線を描くように早口で話されます。かと思うと、キーワードについては、非常に大袈裟にアクセントを置いて発音する。このイギリス英語の”癖”をとにかく身に付けようとしたわけです。
 ここで少し話がそれますが、イギリス英語に限らず、アメリカ英語でも構わないのですが、私はリスニング力を磨くには、ニュース英語を聞くのが一番手っ取り早いと思っています。
 といいますのも、具体例をあげると、2020年年初から現在に至るまでの最大の話題は、新型コロナウイルスの世界的大流行でした。日本国内でもニュース番組ではコロナに関する話題が中心です。イギリスでも、アメリカでもトップニュースはコロナのことばかりでした。
 そうなるとどういうことが起きるかというと、毎日、私のようにBBCのニュース記事を読んでニュースを聞いていると、同じ単語や同じ表現が頻繁に使われる場面に遭遇し、自然とその話題について理解が深まっていくのです。そして、どこどこ大学の誰々教授が、頻繁に記事やラジオに登場しているのを目撃すると、「この先生、また同じこといってるなぁ。最初の頃は全くわからなかったけど、今日は半分ぐらい聞き取れたなぁ」と嬉しい体験をし始めるのです。
 ニュースは毎日、毎時間、膨大な量の新しい情報がメディアに登場しては消えていきます。そうしたニュースの中でも、一つのテーマに絞って追いかけていくと、自然と語彙力や、理解できる表現力が増えていき、結果的にリスニング力の強化と英語力の向上に繋がると思われるのです。
 最近は新聞を購読せずにYahoo!ニュースやスマートニュースの無料記事で済ませている方々が増えていると聞きます。それはそれでいいのでしょうが、無料のニュースは内容が薄いのも確かです。
 私個人は、日本の新聞2紙とニュー・ヨーク・タイムズの計3紙を購読しています。BBCの記事やラジオで分らなかった話題は、翌日の日本の新聞の国際欄で記事の内容を確認するようにしています。
 英語力向上のためには、私は新聞の購読は必須だと考えます。例えば、朝日新聞のデジタル版の廉価版では1980円で読み放題です。これくらいの自己投資は最低限したいものです。
 話が大分それました。次回は、さらに一歩踏み込んだBBC活用術について記したいと思います。
To be continued.