英語ニュースを理解するために必要なこと

 さて、前回はイギリス英語のリスニングを進めるにつれて、私のイギリス熱が加速したことで、BBC Soundsアプリの第5チャンネル「5Live Breakfast」を聴き始めたことを取り上げました。
 この番組はイギリス国内向けのラジオなので、イギリスのことを知らないと全く分らないと述べました。そこで予めBBCのホームページからUKに関するニュース2、3つ、とりわけその日のテーマとなるであろうトピックを約2時間ほどかけて読み込んで、放送に備えました。最初のうちは日本時間14時(イギリスでは夏時間の朝6時)から17時まで丸々3時間聞いていました。
 しかし、以前にも書きましたが、人間の集中力はそう長くは続きません。そこで、World Serviceチャンネルの「Newsday」の時のように、最初の1時間だけに集中して聴こうと決めました。最初の1時間だけでも、30分もすると疲れてきます。とはいえ、約2時間かけて予習しただけあって、何がその日のテーマであり、プレゼンターのNicky CambellさんとRachel Burdenさんがリスナーとどんなやり取りをしているかを少しずつですが、理解できるようになってきました。
 特に、私は同じ男性であるNickyさんの口ぶり、話し方、アクセント、イントネーションに注意して、影のようについて話すシャドーウィングに努めました。そして、お2人のTwitterをフォローするようにして、お2人のツイートも毎日確認することを習慣としました。
  また、会話の中によく出てくる単語を書き取って(急いでカタカナでメモしておきます)、1時間のリスニングの後に、そのつづりと意味を調べることに努めました。頻繁に出てきた単語には、例えば、NHS(National Health Swervice=国民保険サービス)がありました。イギリスの国営医療サービス事業のことを指し、利用者の健康リスクや経済的支払い能力に関わらず、臨床的必要性に応じて利用可能であり、自己負担額は無料か極めて少額である制度です(Wikipedia参照)。これは日本の国民皆保険制度(こくみんかいほけんせいど)に相当するものです。
 2020年3月26日(木)には、夜8時にイギリス全土の人たちが、このNHSで働く人々など医療・介護従事者に対する感謝を送る「Clap for carers(医療・介護従事者に拍手を)」というキャンペーンが行われ、翌日の「5 Live Breakfast」でも、拍手とともに歓声や指笛を鳴らす人たちの様子が伝えられました。下記URLはそのことを報じたBBC日本語版の記事です。

https://www.bbc.com/japanese/52058906

 

 この頃、同時によく耳にしたのが、key workerという単語です。これは、医療・介護従事者や必要物資を販売する店舗の従業員、また物流に関わる人々など生活していく上で必要なサービスを提供する仕事に携わる人たちを指した言葉です。これはイギリス英語で使われますが、アメリカではessential worker(エッセンシャル・ワーカー)と表現します。ちなみに日本ではアメリカ英語版を使いますね。
 また、イギリスの高校生たちが大学入学に必要とされるAレベル(A-Level=一般教育修了上級レベル)の認定試験が、各地でロックダウン下にある現状で実施されるのか否かが問題となった時、私は大学生時代に読んで感銘を受けた故森嶋道夫(もりしまみちお)先生(当時ロンドン大学教授)の『イギリスと日本』(岩波新書)をAmazonで取り寄せ、イギリスの教育制度を詳説している本書を30数年ぶりに目を通しました。この本は本来2部作なのですが、絶版となっているため、Amazonでは第一巻のみ手に入ります(ただ、定価の倍以上しますが)。メルカリでは何点か出品されています(8月19日現在)。この本を読み返して思い知らされたのは、イギリスのニュースを聞き取るには、ニュース記事という表面的かつ一時的な内容だけでは理解ができないな、と痛感したことです。
 ニュースを理解するには、その国の国情を解説した書籍を最低でも一冊は読んでおくべきだということを学びました。その意味で私が最近注目しているイギリス関連の著者はブレイディみかこさんです。イギリスで保育士として働きながらも、イギリスが抱える国内の諸矛盾、社会的課題を鋭い視点で抉(えぐ)り出しています。私は、購読している新聞に定期的に寄せられるコラムでこの方を知り、ファンとなりました。
 さて、最後にここで私が提案したいことがあります。それは、イギリス英語にしろ、アメリカ英語にしろ、英語力を高めるためには、何かしらの番組とその中で出演するプレゼンターやジャーナリストの「ファン」になることが、勉強の動機付けとなり、継続の秘訣ではないかということです。
 好きな人の活躍を追い続けるのは、韓流スターを追いかけるファンの心理と相通ずると思うのです。ですから、このインターネット時代という素晴らしい時代を生きる上で享受できるメリット。すなわち、瞬時に世界中の有名人の情報を得られ、その人とTwitterFacebookInstagramなどのソーシャルメディア(social media)でつながるメリットをフルに活用してみてはいかがでしょう(英語ではSNSとはいわず、ソーシャルメディアといいます)。是非、お勧めいたします。
 長くなりました。次回からは、2020年9月に再開されたTOEICとの格闘記を再び綴りたいと思います。

To be continued.