さて、ここで度々お話ししてきたNHK朝の連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」が本日最終回を迎えました。約半年にわたり、親子3代の物語が完結いたしました。ドラマのテーマは親子の愛と絆。そのテーマを彩りのあるものにしたのが、英語でした。3人のヒロインが三人三様の在り方でNHKのラジオ講座で英語を学び、人生の節目節目で生かしていく。
例えば、3人目のヒロイン、ひなたは一度は挫折して英語から遠ざかっていたものの、就職先の映画村で外国人観光客の案内係として一役買うためにラジオ講座を聴き始め、必死で英語を習得しました。そしてその英語を使って行方不明となっていた祖母、安子と運命的な出会いを果たし、安子とは子どもの頃に生き別れたと聞かされていた母るいと約半世紀ぶりに再会させました。昨日(4月7日)のそのシーンは涙なくしては見れない感動的なものでした。
ここで留意したいのは、もしひなたが英語を話せなかったら、日系アメリカ人のアニー・ヒラカワとして名乗っていた安子との接点を持てなかったかも知れなかったことです。ハリウッド映画のキャスティングディレクターとして映画村に現れた安子の通訳をしたことで親しくなったひなたは、英語ができたからこそ実の祖母と出会えた。
親子3代の運命をも左右した英語という言語の存在が、このドラマを劇的にしたといっても過言ではないでしょう。
さて、今回は英語で人生を劇的にするための一つの手段として、ドラマでも扱われたNHKラジオ講座をお勧めする次第です。私は、このブログの最初の頃にしばしば取り上げましたが、英語との出会いは中学一年生の4月から聴き始めたラジ講座「基礎英語」でした。現在では名称も少し変わり、レベル別の講座が複数用意されていますが、内容はとてもよく考え抜かれたいい番組揃いです。もし、これから英語を始めようとお考えの50代の方がいらっしゃったら、まず中学英語から始めてみてはいかがでしょう?「今さら中学英語なんて恥ずかしいよ」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。
しかし、だからこそ中学英語をお勧めしたいのです。例えば、以下の3つの英文の違いを説明できますでしょうか。
①He went to America.
②He has gone to America.
③He has been to America twice.
いずれも中学で習う「過去形」と「現在完了形」という文法で作られた文です。
日本語に訳すと
①「彼はアメリカに行った(今はどうしているかわからない)
②「彼はアメリカに行ってしまった(その結果、今もアメリカにいる)
③「彼はアメリカに2回行ったことがある」。
以上のようになります。
①の過去形はある一時点での過去を意味するので、その後、「彼」がどうなったかまでは説明しないのです。
②は現在完了形の「完了・結果用法」となります。
③は、現在完了形の「経験用法」になります。
この区別ができない人は少なくないと思います。私は大学生の頃、学習塾の講師や家庭教師のアルバイトをしていましたが、大方の中学生が現在完了形でつまずいていました。高校生になって英語が苦手の生徒さんたちもやはり、この現在完了形の意味をよく理解しないまま高校生になり、未来完了形や過去完了形という新しい文法事項が出てきてお手上げとなっている例をたくさん見ました。
現在完了形の日本語訳を「行ってしまった」とか「行ったことがある」とするためから来る誤解からでしょうか、これを過去形と錯覚している。しかし、現在完了形とは、あくまで過去と現在の関係を表す表現なのです。つまり、過去の一時点から現在までの連続した時間の流れを表したいときに使う表現です。なので、現在完了形とは現在形の一種といってもいいでしょう。
この基本的な文法事項をしっかりと理解せずに大人になってしまい、いざ仕事で英語が必要になった方々がどこから始めたらいいのだろうかと途方に暮れるのだと推測されます。
まずは中学英語。中学英語は、基礎の基礎だと考えます。高校英語で学ぶ文法事項や単語に比べたら、はるかに学ぶ量は少ないです。そこで「読み・書く・聞く・話す」の四技能の基礎を学ぶうえで大いに役に立つのが、NHKのラジオ講座です。
講座の開講は今月からです。まだまだ間に合います。すぐにでも書店に向かってテキストの購入をお勧めします。
ちなみに本日最終回だった「カムカムエブリバディ」では、3人目のヒロイン・ひなたがラジオ講座の講師となり、ネイティブのゲスト講師が実は初恋の人だったことが判明するところで落ち着きました。めでたしめでたし、でした。
〜〜本日の元気の出る英語〜〜
Failure is a detour, not a dead-end street.
失敗は遠回りだ。
行き止まりなどではない。
Zig Zigler
ジグ・ジグラー(著述家)